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人間関係をダメにする”箱”退治に出かけて感じたこと


人間関係をダメにする箱

“箱”とは

貴方も”箱”に入っているかもしれない

一生懸命頑張っているのに、誰も自分の苦労をわかってくれない

どれだけ真剣に指導しても、部下は失敗を繰り返すダメな奴だ

周りには無能な人間ばかりでウンザリする

妻(夫)は自分のことを棚に上げて、自分勝手な振る舞いばかりする

生理的に合わないと感じる人がいる

この中に思い当たることはないでしょうか?

もしひとつでも当てはまるものがあったとしたら、貴方も”箱”に入っているかもしれません。

そもそも”箱”とは

“箱”とは、アメリカの哲学者テリー・ウォーナーが提唱した「人が自己欺瞞を行っている状態」のたとえです。

自己欺瞞(じこぎまん)

自分で自分の心をあざむくこと。自分の良心や本心に反しているのを知りながら、それを自分に対して無理に正当化すること。自欺(じき)。

自分を無理に正当化しようとして、自分の周囲に”言い訳”を張り巡らせた状態を”箱”に見立てたのでしょう。

“箱”に入るきっかけ

人が”箱”に入るきっかけは、自分の良心を裏切ってしまったタイミングです。一つ例をあげてみましょう。

会社帰りの電車の中。マイクが席に座っていると、足の悪そうなお爺さんが乗り込んできました。お爺さんは私の前で吊革につかまり、立っています。

マイクの良心は「席を譲ってあげよう」と言いました。しかし、彼は寝たフリをしてやり過ごすことにしました。

マイクは自分の良心を裏切りました。さて、この後、マイクはどうするでしょう?お爺さんの心配を続けるのでしょうか?

寝たフリをしながら、マイクの頭の中には様々な声が浮かびます。
「俺は疲れているんだから寝かせてくれよ。ひょっとしたら寝たフリに勘付いているのか?俺の前で立つことで、疲れている俺にプレッシャーをかけているのかもしれない。そうだとしたら、何て意地の悪い爺さんだ。そもそも、、、」

心配どころか、全く逆の展開になってしまいました。

良心を裏切るのは後ろめたいことです。その後ろめたさを払拭するために、様々な嘘の”言い訳”が湧き出してくる。こうして人は”箱”に入ります。

“箱”に入っている時の症状

“箱”に入ってしまうと、自己防衛のために様々な症状が現れます。

相手の悪いところばかりが目に付く

良心の裏切りを正当化するためには、相手を悪者に仕立て上げなくてはいけません。

「あいつはこんな酷い奴だから、自分が助けなくても当然なんだ。」という理論を成立させるために、相手の悪いところばかりが目に付くようになります。

自分の悪いところを無視する

反対に、自分の悪いところは目に入らないようになり、自分の優れている部分が誇張して感じられるようになります。

「自分は普段からよくやっているのだから、今回相手を助けないことは問題にならない。」という理論を成立させるための心理です。

自分が”箱”に入っていることには気付かない

そして、最も厄介なのがこの特徴です。

“箱”の中では「自分は悪くない。悪いのは相手である。」という心理状態になっているため、自分が自己欺瞞をしていることに気づくのは容易ではありません。

結果として、いつの間にか良心が陰を潜め、強靭な箱の中に入りっ放しの状態になってしまいます。

“箱”によって引き起こされる問題

この”箱”によって、色々な問題が生じます。

チームワークの欠如、個々のパフォーマンス低下、サービス力の衰退、情報伝達の歪み、クルーの神経衰弱などなど、挙げだしたらきりがありません。

更に、ここでは解説しませんが、”箱”は「周囲にも伝染する」という性質を持っています。

組織を崩壊させる要因にもなり得る、恐ろしいものなのです。

補足:”箱”の本

箱について詳しく知りたい方はこちらをどうぞ。

自分の小さな「箱」から脱出する方法

自分の小さな「箱」から脱出する方法(アービンジャー インスティチュート著)

“箱”退治に出かけた経緯

クルー全員で2日間のセミナー

今回、10/24-25の2日間をかけて、”箱”討伐のためのセミナーを受けてきました。

ファシリテーターはこの方です。

西田敬一氏

西田敬一さん

1973年5月23日生まれ。愛知県出身。同志社大学卒業後、数社の営業会社に勤務。トップセールスとして、個人相手・法人相手双方のセールス手法をマスター。その実績をもって、コンサルティング会社(株)チェンジマネジメントシステムに入社、取締役へ。社内きっての「リピート創出コンサルタント」の異名を持つ。中小企業100社程に関わりながら、組織変革と業績アップを支援。その後、「自分の小さな箱から脱出する方法」(アービンジャー・インスティチュート著)との出会いによって、組織で起こる問題の根本的な解決方法を発見。「箱のメカニズム」に感動を覚える。現在アービンジャー・インスティチュートの公認ファシリテーター。
http://www.hr-japan.com

公式プロフィールは堅めに書かれていますが、実際には気さくで、とても温かいお人柄です。

この西田さんを講師に迎え、クルー全員と非常に濃密な時間を過ごしてきました。

私自身の”箱”との出会い

もともと、私が”箱”に出会ったのは2013年の秋のことです。

知人から「会社をマネジメントしていく上でぶつかる壁があるから、絶対に読んでおくと良いよ。」と薦められて手にしたのですが、その内容は衝撃的でした。

“自身の気持ちの揺れ”、”他人への否定的な思い込み”、”組織内の対立”、が何によって起きるのかが分かりやすく書かれており、「これは絶対に必要だ!もっと学ばなくては・・・」と直感したのを覚えています。

そして”箱”についてGoogleで検索したところ、幸運にも2013年の11月に名古屋で箱セミナーが開催されることを知り、すぐさま私一人で参加申込みをしました。

実際に2日間のセミナーを受けてみると、知識が自分の経験と結びつくことによって、箱によって起こる問題を、表面的な理解ではなく、心の深いところで体感することができました。

社内に蔓延する”箱”

それから1年。組織は少しずつ成長をしてきましたが、それと同時にチーム内のわずかな歪みを感じるようになりました。

特定のクルー同士での口論や、軋轢が時折目につくようになり、それは単なる「価値観の違い」という一言では片付けられない問題でした。

クルーの社歴が長くなる中で、目に見えない”箱”は少しずつ、そして着実に形成されていったのです。

「あの人”箱”に入っているなぁ」という風潮

私は「クルーにも”箱”の概念を共有してもらおう」と考え、皆に本を読んでもらいました。真似事で”箱”セミナーもどきもやってみたのですが、結果は芳しくありませんでした。

中途半端に”箱”というイメージだけが定着し、自分のことは差し置いて「あの人”箱”に入っているなぁ」と指差すような風潮さえ生まれてしまいました。

“箱”は、理解して終わりではなく、自分が入っていないかを自問自答し続けることが大切な概念です。その為に、セミナーでは2日間を割いて自分と向き合う時間を設けているのだと思いますが、当時の私は「とりあえず本を読んでもらったら分かるはずだ」と安易に考え過ぎました。(本を差し出されたクルーの気持ちも、私は十分に考えていなかったのかもしれません。)

そんな風潮を西田さんへ相談したところ、彼は快く今回のセミナーを引き受けてくれました。

出かけてみて感じたこと

箱セミナー

2回目でも沢山の学びがあった

私自身セミナーを受けるのは2回目でしたが、今回も沢山の学びを得ることができました。

前回受講した際のテキストを見比べながら、自身の1年間を振り返ると、”箱”から抜け出せた部分や、新たに”箱”に入ってしまった部分に気づくことができました。

自分の気持ちと向き合いながら1年間を過ごしてきたつもりですが、今まで以上に自問自答の頻度と精度を上げていきたいです。

クルーからも様々な反応

受講中は、それぞれのクルーの様子にも気を配っていましたが、反応は様々でした。

自分の”箱”に気づけたクルー

多くのクルーが、自身が持つ何らかの”箱”に気づけていたと思います。

「自分が持つ”箱”を取り払おうと試みて、とても心地良い体験ができた。」、「それまで全く思いもよらなかった人に”箱”を持っていると気づき、驚いた。」というように、各々が重要性を感じていました。

これからも自分の心と向き合いながら、”箱”の外で過ごしてもらいたいと思います。

涙を流したクルー

相手に感謝を伝えるワークで、思わず涙を流したクルーもいました。

私もその場に居合わせたのですが、周囲が温かい空気で包まれ、心の深いところまで感謝の気持ちが伝わってきました。(私も貰い泣きしてしまいました)

心の繋がりを感じることが出来るのも、自分の良心や相手の気持ちと向き合えたからこそなのでしょう。

腑に落ちなかったクルー

“箱”についての考えが腑に落ちなかったクルーもいました。

“箱”は抽象的な概念を体系化した理論なので、ひょっとしたら何らかの矛盾があったのかもしれません。もしくは、2日間という期間が短すぎたのかもしれません。

私見ですが、”箱”は宗教ではなく哲学なので、「これは絶対に正しい」と信じるものではないと思います。しかし「人を人として見る」、「自己欺瞞に可能性を疑う」といった2日間の学びの中で、何か良心に響く部分があれば、是非大切にしてもらえると嬉しいです。

全員が少しずつ優しくなれた

セミナーから一週間が経ち、クラッソーネのオフィスにはそれまでと変わらない日常が流れています。しかし、全員が少しずつ優しくなれたように思います。

相手を心の通った人として認識し、自分の不完全さを理解することに対し、一人一人が意識を向けるようになってきました。

今も何かのきっかけで”箱”が現れることがありますが、その機会はゆっくりと減っていっているようです。

まとめ

一人一人が”箱”と向き合い続けることが大切

“箱”を学んだ今も、良心に従い続けることは簡単ではありません。100発100中など、至難の業です。(かくいう私も、今日1日を振り返ると、沢山の良心を裏切り、何度も”箱”に入ってきました。)

しかし、大切なのは100発100中でなくても、100発10中を100発11中に、100発11中を100発12中に上げること。そして、それを日々続けることだと思います。そうすれば、誰か一人が聖人にならなくても、皆が楽しく過ごせるチームが出来るはずです。

理想のチーム作りのため、来年以降もセミナーを続けていきたいです。

最後になりますが、素晴らしい機会を与えていただいた西田さんに、改めて感謝いたします。本当にありがとうございました。

この記事を書いた人

川口 哲平

川口 哲平

代表取締役/CEO クルー全員が「自分自身の可能性」と「働くことの喜び」を見出しながら前進し、全ての人に「楽しく豊かな暮らし」を提供できるよう、尽力していきます。